キッチンカーの出店場所の探し方 — 売れる場所の見極めと交渉のコツ
キッチンカーの出店場所はどう探す?オフィス街・商業施設・イベント・マッチングサービスなど探し方の種類と、売れる場所の見極め方、地主との交渉や許可の注意点までを開業前後のオーナー向けに解説します。

車両ができて、メニューも決まった。なのに「どこで売ればいいのか分からない」。キッチンカーを始めたオーナーさんから、よく聞く悩みです。朝から仕込んでも、人が来ない場所では一日の売上が仕込みの原価にすら届きません。
出店場所の種類と探し方、売れる場所の見分け方、土地オーナーとの交渉、そして出店前に確かめておきたいルール。この順に、実務の目線で整理しました。これから開業する方にも、いまの出店先を見直したい方にも使える内容にしています。
キッチンカーの売上は「どこに出すか」で大きく変わる

キッチンカーの売上は、ざっくり言えば「客数 × 客単価」です。客単価はメニューと値付けで調整できます。ところが客数は、出店場所でほぼ決まってしまう。同じ唐揚げ弁当でも、出す場所が変われば売れ行きはまるで違います。
売れる場所を自分で選んで動けるのは、キッチンカーならではの強みです。裏を返せば、出店場所をずっと探し続けなければいけません。店舗営業にはない手間ですね。
だからこそ、最初から「ここ一本」と決め込まないほうがうまくいきます。候補をいくつか持って、試しながら絞っていく。遠回りに見えて、そのほうが結果的に早く安定します。
出店場所の主な種類(オフィス街・商業施設・住宅地・イベント)

代表的な出店場所を表にまとめました。客層も売れる時間帯もそれぞれ違うので、自分のメニューと照らし合わせながら見てみてください。
| 種類 | 主な客層 | 売れやすい時間帯 | 向いているメニュー | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| オフィス街 | 会社員 | 平日のランチタイム | 弁当・丼・カレーなど早く出せるもの | 昼の短い時間に注文が集中する |
| 商業施設・スーパー | 買い物客・家族連れ | 土日祝の日中 | 軽食・スイーツ・テイクアウト惣菜 | 施設のルール(火気・音・のぼり)が細かい |
| 住宅地・マンション | 主婦層・高齢者・ファミリー | 夕方・週末 | 夕食のおかず・パン・焼き菓子 | 同じ場所への定期的な出店が前提 |
| イベント・マルシェ | 来場者全般 | 開催日の日中 | 食べ歩きできるもの・話題性のあるもの | 天候や集客の当たり外れが大きい |
| 大学・病院・工場など | 学生・職員・従業員 | 平日の昼休み | 手頃な価格のランチ | 長期休暇や勤務シフトで客数が変わる |
オフィス街は「回転の速さ」が勝負
オフィス街は平日のランチ需要がはっきりしていて、売上の見通しが立てやすい場所です。ただ、会社員の昼休みは短い。提供に時間がかかると、お客さんは行列を見ただけで帰ってしまいます。作り置きと仕上げを分けるなど、早く出すための段取りが欠かせません。
住宅地は「通ってもらう」場所
住宅地で売上につながるのは、「毎週◯曜日に来るお店」と覚えてもらうこと。一度きりの出店では、なかなか結果は出ません。すぐに大きな売上は見込めなくても、固定客がつけば安定しやすい場所です。
イベントは「当たると大きい」が波もある
大型イベントでは、一日で大きく売れることもあります。反対に、雨が降ったり人が集まらなかったりすれば、仕込んだ分がそのまま残ることも。イベントだけに頼らず、平日の定期出店と組み合わせておくと経営が安定します。
出店場所を探す4つの方法(マッチングサービス・直接交渉・自治体・イベント募集)

1. マッチングサービスを使う
キッチンカーと空きスペースのオーナーをつないでくれるサービスです。地主を探すところから交渉まで、自分でやらずに済みます。開業したばかりで勝手が分からない時期には、特に頼りになる方法です。
- Mellow「SHOP STOP」: 公式サイトでは、料金体系を「売上連動型」としていて、初期費用ゼロで売上に対して一定割合の手数料がかかる仕組みです。具体的な料率は公式サイトに載っておらず、「詳細はお問い合わせください」とされています(要確認)。利用の流れは、フォーム入力 → アドバイザーとWeb会議で相談 → 出店開始で、最短7日で出店場所が決まると案内されています。
- モビマル: キッチンカーが出店できる場所を、常設・イベント別に写真つきで一覧にしているサイトです。地域や「ランチ」「マルシェ」などのタグで絞り込めます。出店者側の料金体系は確認できなかったため、要確認です。
※料金は記事執筆時点(2026年10月)のものです。最新情報は各公式サイトをご確認ください。
交渉に慣れていない人や、とにかく早く出店先がほしい人に向いています。ただし手数料がかかるぶん、手元に残る利益は減ります。人気の枠はすでに埋まっていることもあると思っておいてください。
2. 土地オーナーと直接交渉する
駐車場や店舗の軒先、企業の敷地。こうした場所の持ち主に、自分から声をかける方法です。仲介手数料がかからず、条件も自由に話し合えます。そのかわり、断られることのほうが多いもの。断られて当たり前と割り切って、数を当たる覚悟がいります。
3. 自治体・公共施設の募集を探す
市役所や公園、公共施設が、キッチンカーの出店者を募集していることがあります。自治体のホームページや広報誌、商工会・観光協会のお知らせは、こまめにのぞいておくと見逃しません。地域のイベントに声がかかるなど、人のつながりが広がりやすいのもうれしいところです。
4. イベント・マルシェの出店者募集に応募する
SNSやイベント情報サイトで「キッチンカー募集」と検索すると、マルシェやお祭りの募集が見つかります。いきなり大きな会場を狙わなくても大丈夫。まずは小さなイベントに出て、メニューの反応やオペレーションを試す場として使うのもいいやり方です。
4つの方法を手間とコストで比べると、こうなります。
| 探し方 | 手間 | コスト | 向いている段階 |
|---|---|---|---|
| マッチングサービス | 少ない | 手数料あり | 開業直後〜 |
| 直接交渉 | 多い | 交渉次第 | 慣れてきたら |
| 自治体の募集 | 普通 | 募集条件による | 地域密着で続けたい |
| イベント募集 | 普通 | 出店料あり | テスト・売上の上乗せ |
売れる場所を見極めるチェックポイント(人通り・時間帯・競合・設備)

人通りは「量」より「質」
駅前の大通りは人が多くても、みんな急ぎ足で通り過ぎるだけなら売れません。見るべきは、立ち止まって買う余裕のある人がどれくらいいるか。お昼をどこで食べようか探している会社員や、休日にのんびり過ごしている家族連れは、買ってくれる人になりやすい客層です。
時間帯が自分の営業スタイルと合っているか
候補地には、実際に営業したい曜日と時間帯に足を運んでみてください。平日の昼はにぎやかなのに、夕方になると人がいなくなるオフィス街もあります。自分の目で見て確かめるのが、いちばん確実です。
競合を確認する
近くにコンビニや弁当屋、飲食店がどれだけあるか。同じ日にほかのキッチンカーが来るか、来るならメニューがかぶらないか。価格が周りのお店と比べて高すぎないか。このあたりは下見のついでに見ておけます。
競合がいるから駄目、というわけではありません。キッチンカーが何台も集まる場所は、「どれにしようか」と選ぶ楽しさで人を呼べます。気をつけたいのは、メニューが重ならないことです。
設備・環境をチェックする
設備まわりは、出店当日になって「しまった」と気づきやすいところ。下見のときに次の点を確かめておくと安心です。
- スペース: 平らで、車両と客の待ちスペースを確保できるか(Mellowのよくある質問では、車両1台あたり一般的に3m×5m程度が目安とされています)
- 電源: 使えるか、発電機を使ってよいか
- ゴミ: 捨てられるか、持ち帰りが必要か
- トイレ・休憩: スタッフが使える場所があるか
- 雨や日差し: 屋根や日陰があるか
- 車の出入り: 進入路の幅や高さ制限
最初は「試験出店」で判断する
1回の売上だけで良し悪しを決めるのは早すぎます。できれば曜日や天気を変えて2〜3回出店し、売上、客数、天候、周りの様子を記録してください。データが少し集まるだけで、続けるかどうかの判断がぐっとしやすくなります。
土地オーナーとの交渉と出店料の相場の考え方
出店料の3つの型
出店料の払い方は、大きく分けて3つあります。
| 型 | 内容 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 固定制 | 1日◯円と決まっている | 売れるほど手元に多く残る | 売れない日も同じ額を払う |
| 歩合制 | 売上の◯%を支払う | 売れない日の負担が軽い | 売れるほど支払いが増える |
| 固定+歩合 | 少額の固定+売上の◯% | 両方の中間 | 計算がやや複雑 |
相場の一例として、Mellowが運営するメディアでは、出店料は歩合制なら売上の10〜20%、固定制なら1日3,000円〜数万円が目安と紹介されています。実際の金額は、場所の集客力や地域によって大きく変わります。
手元に残る金額で比べる
出店料は、払う額だけを見るより「最後にいくら残るか」で比べたほうが判断を誤りません。たとえば売上5万円、原価率35%の日で計算してみます。
- 歩合15%の場合: 原価17,500円+出店料7,500円 → 手元に25,000円
- 固定5,000円の場合: 原価17,500円+出店料5,000円 → 手元に27,500円
ところが売上が2万円の日だと、話が変わります。歩合15%なら出店料は3,000円、固定なら5,000円。今度は歩合のほうが負担は軽くなります。売上が読めない新しい場所では歩合制、売上が安定してきたら固定制。こう覚えておくと、どちらが有利か迷いにくくなります。なお、この計算には燃料費や人件費は含めていません。
交渉を進めるコツ
声をかけるときは、簡単な提案資料を用意しておくと話が早く進みます。車両とメニューの写真、価格帯、営業許可証や保険の加入状況。これだけでも、相手は出店の様子を思い浮かべやすくなります。
伝えるのは、こちらの都合より相手のメリットです。空いているスペースを活かせる、来店客や従業員へのサービスになる、敷地ににぎわいが生まれる。そのうえで、相手が不安に思いそうなことには先回りして答えておきます。ゴミは持ち帰る、騒音や匂いに気を配る、帰る前に清掃する、といった点です。
いきなり長い約束を求めると、相手も身構えてしまいます。「まず1か月、週1回から」とお試し期間を提案すれば、受け入れてもらいやすくなるはずです。
話がまとまったら、曜日、時間、出店料、雨天やキャンセル時の扱い、電源使用料などを書面に残してください。口約束のままだと、あとでトラブルになりがちです。簡単なものでかまわないので、合意した内容は必ず文章にしておきます。
営業許可・道路使用など出店前に確認すべきルール
出店場所が決まっても、ルールを守っていなければ営業はできません。ここでは一般的な注意点だけを挙げておきます。細かい要件は地域によって違うので、必ず事前に窓口で確認してください。
営業許可の範囲
キッチンカーで飲食物を売るには、保健所の営業許可が必要です。許可は管轄の自治体ごとに出るもの。出店予定地が、許可を受けたエリアに入っているかを確かめておきます。別の地域で営業するときは、追加の手続きが必要になることもあります。扱えるメニューに条件がつく場合もあるので、あわせて聞いておくと安心です。
公道での営業は原則として難しい
道路にキッチンカーを止めて販売するのは、基本的に認められにくいと考えてください。道路の使用や占用には警察署や道路管理者の許可が関わりますが、移動販売のために許可が下りるケースは限られます。営業するのは、私有地か、管理者が出店を認めている場所。これが基本です。
その他の確認事項
公園や公共施設で出店するなら、管理者の許可が必要です。イベントで火気やガスを使う場合は、主催者や消防への届け出を求められることがあります。包装して売る商品は、食品表示やアレルギー表示にも特に注意がいります。
食中毒や事故に備えて、賠償責任保険への加入も検討しておきたいところ。発電機の音やアイドリング、行列が歩道をふさいでいないかなど、近隣への配慮も忘れずに。
税金や帳簿のつけ方(出店料をどう経費にするかなど)も含め、詳しくは保健所・警察署・税理士などの専門家に確認してください。
出店場所を固定客につなげる(出店予定の告知と事前予約の活用)
良い出店場所が見つかったら、次は「また来たい」と思ってもらう番です。キッチンカーは、いつどこにいるのかがお客さんから見えにくい。そのぶん、情報を発信できるかどうかでリピートが変わってきます。
出店スケジュールを早めに・定期的に告知する
InstagramやX、LINE公式アカウントで、週間・月間の出店予定を投稿しておきます。店頭にはスケジュール表やショップカードを置いて、次回の出店日を伝える。当日の朝には「本日◯◯で営業中」と改めて投稿する。こうしておけば、お客さんはお店を追いかけやすくなります。
「毎週◯曜日はここ」と決める
出店日と場所を固定すると、お客さんの生活リズムに組み込んでもらえます。「水曜日はあのお弁当」と覚えてもらえれば、天気が多少悪くても来てくれる常連さんが増えていきます。
事前予約で行列と売り切れ対策をする
オフィス街のランチや住宅地の夕方販売では、事前予約が役に立ちます。受け取り時間を分散できるので、昼休みの行列が減る。予約数から仕込み量の見当がつき、廃棄も売り切れも減らせる。オフィスでのまとめ注文も受けやすくなります。
予約受付を仕組み化したいなら、小規模店舗向けのテイクアウト/予約注文受付システム「OutFood」で無料で始められます。お店ごとに発行される注文サイトのURLをSNSやLINEでシェアすると、お客さんが受取日時を選んで注文・事前決済できます。メールアドレスとパスワードだけで始められ、Freeプランなら月20件まで無料です。
ただし、イベントのように、その場でふらっと買うお客さんが中心の場所では、予約の出番はあまりありません。予約は、定期出店の場所から取り入れていくのがおすすめです。
まとめ
キッチンカーの売上は客数に大きく左右され、その客数は出店場所でほぼ決まります。オフィス街、商業施設、住宅地、イベントなど、場所ごとに客層も売れる時間帯も違います。
探し方は、マッチングサービス、直接交渉、自治体、イベント募集の4つ。最初はマッチングサービスとイベントで経験を積むのも手です。候補地は「立ち止まって買う人がいるか」「時間帯」「競合」「設備」で見極め、2〜3回の試験出店で判断します。
出店料には固定・歩合・その組み合わせがあり、手元に残る金額で比べるのがコツ。決まった条件は書面に残しておきます。営業許可の範囲や公道でのルールは、保健所・警察署などの専門家に必ず確認してください。そして出店予定の告知と事前予約で、見つけた出店場所を固定客づくりにつなげていきます。
出店場所は一度決めたら終わりではなく、試しながら育てていくものです。記録をつけながら、自分のお店に合った場所を見つけていってください。



