飲食店のテイクアウト導入、本当に儲かるのか — メリット・コスト・よくある不安に答える
「テイクアウトを導入したいけど、人手も足りないし本当に儲かるのか?」 そんな迷いに答えます。メリット・コスト・4つの不安への回答と、損しない導入の進め方を整理しました。

テイクアウトを始めるのは、思っているほど難しくありません。ただ、やる順番を間違えると、許可で引っかかったり、容器でクレームが出たり、せっかく始めても誰にも知られず終わったりします。
私が見てきた中で、スムーズに立ち上げた店は、だいたい同じ順番で準備しています。この記事では、その手順を8つのステップに整理しました。上から順にやれば、大きくつまずかずにスタートできます。
なお、許可や衛生に関わる部分は、最終的には管轄の保健所に確認するのがいちばん確実です。本記事は一般的な流れの整理として読んでください。
STEP1: 営業許可が必要か確認する
最初に気になるのが「保健所の許可がいるのか?」だと思います。
結論から言うと、すでに飲食店営業許可を持っている店が、店内メニューをテイクアウトする場合、追加の許可は原則不要です。東京都も大阪府も、保健所が「店内提供メニューをすぐ消費する前提でテイクアウト・デリバリーするのは追加手続きなしで可能」と案内しています。
ただし、以下のケースでは新たな許可が必要になることがあります。
- パンや菓子を製造して販売する → 菓子製造業の許可
- 生肉や精肉を販売する → 食肉販売業の許可
- 真空パック・瓶詰めなど、保存性を高めた加工品を作って売る → 別途許可
- 自動車での移動販売(キッチンカー) → 別途許可
つまり、「店で出してる料理をそのまま持ち帰り用にする」だけなら基本OK。「新しい品目を製造・加工して売る」なら確認が必要、という整理です。
迷ったら、最寄りの保健所に電話一本で確認できます。これは最初にやっておきましょう。
STEP2: テイクアウト向けのメニューを決める
許可の目処がついたら、次はメニュー。
ここで一番大事なのは、店内メニューをそのまま出さないことです。店で出来立てが美味しい料理と、30分後に家で食べて美味しい料理は別物。
テイクアウトに向くのは:
- 冷めても美味しい(カレー、煮込み、揚げ物、丼もの)
- 再加熱で復活する(シチュー、ハンバーグ)
- もともと冷たい前提(サンドイッチ、寿司、サラダ)
- 持ち運びに耐える(汁気が少ない、崩れにくい)
逆に、揚げたての軽さが命の天ぷら、鉄板の熱々ハンバーグなど「出来立てが命」の料理は、テイクアウトでは評価を落としやすい。
最初は2〜3品に絞ってスタートするのがおすすめです。いきなり全メニューをテイクアウト化すると、オペレーションが回らない。看板になりそうな料理を少数精鋭で始めて、売れ行きを見ながら増やしていくほうが失敗しません。
STEP3: 容器・包装を準備する
メニューが決まったら、それに合う容器を選びます。
容器は「安ければいい」ではありません。特に汁気のある料理は、安い容器を使うと漏れてクレームになります。目安として:
- 普通のお弁当: 1個10〜30円
- 汁物対応の密閉容器: 1個30〜80円
- 保温・断熱容器: 1個80〜200円
選ぶときのポイントは、電子レンジ対応か、密閉性は十分か、持ち手付き袋に収まる形か。実際に料理を詰めて、傾けたり逆さにしたりして漏れをテストすることを強くおすすめします。
あわせて、レジ袋も準備します。プラスチック製レジ袋は2020年から有料化が義務ですが、紙袋やバイオマス配合の袋なら無料配布もできます。業態とブランドに合わせて選んでください。
STEP4: 価格を決める
テイクアウトの価格は、イートインと同じにする必要はありません。
押さえるべきポイントは2つ。
消費税が違う: 店内飲食は10%、テイクアウトは8%(軽減税率)。税抜き価格を統一するか、税込み価格を統一するかは店の判断ですが、ここは認識しておく必要があります。
容器代がかかる: 1個50円の容器を使うなら、その分を価格に乗せる。原価率を考えると、本体価格に200〜250円上乗せが目安です。これを忘れると、忙しいのに儲からない構造になります。
セット販売や大盛りオプションで客単価を上げる仕掛けも、最初から考えておくといいです。ランチ単価1,000円前後だけで勝負すると、数で稼ぐしかなくなって消耗します。
STEP5: 衛生管理・食中毒対策の体制を作る
テイクアウトは、調理から食べるまでの時間が店内飲食より長い。その分、食中毒のリスクが上がります。ここは軽視できません。
基本の対策:
- 中心部までしっかり加熱する
- 調理後は速やかに冷ます(常温で長く置かない)
- 水分の多い料理、半生の料理は避ける(特に夏場)
- 消費期限の目安をお客様に伝える
特に大事なのが、お客様への消費期限の案内です。店内調理の対面販売なら法的な表示義務は原則ありませんが、「本日中(購入後○時間以内)にお召し上がりください」と一言伝えるだけで、食中毒リスクもクレームも大きく減ります。容器にシールを貼る、口頭で伝える、注文サイトに記載する、いずれかは必ずやっておきましょう。
なお、2021年からHACCPに沿った衛生管理が全飲食店に義務化されています。日々の衛生管理記録は、テイクアウトの有無に関わらず必要です。
STEP6: 注文の受け方を決める
ここが、テイクアウトの成否を分ける重要なステップです。
注文を受ける方法は、大きく2つ。
電話注文: 初期費用ゼロで始められますが、ピーク時に電話が取れない、聞き間違い、記録が残らない、という弱点があります。月の注文が少ないうちはこれでも回りますが、増えてくると必ず限界が来ます。
ネット注文(予約アプリ): お客様がスマホで24時間予約でき、受取時間枠を管理でき、注文データが蓄積される。聞き間違いもゼロ。テイクアウトを本気でやるなら、早めに導入したほうがいい。
ネット注文システムを選ぶときは、売上手数料がかからないことと設定が簡単なことを重視してください。せっかく自店で受注しても、手数料を取られたら利益が削れます。複雑すぎて使いこなせなければ意味がない。
選択肢の一つとして、アウトフードのようなテイクアウト特化型システムがあります。月額1,900円〜・売上手数料0%・Freeプランあり。受取時間枠の管理、商品オプション、注文締切設定など、テイクアウトに必要な機能が揃っていて、3分でセットアップできます。月20件以下ならFreeプランでずっと無料なので、まず試してみるのにちょうどいい。
STEP7: 集客の準備をする
メニューも仕組みも整えたら、最後は「知ってもらう」段階です。これを忘れて「始めたのに誰も来ない」となる店が、実はいちばん多い。
最低限やるべきこと:
- 店頭POP・看板: 「テイクアウト始めました」を通行人に告知。いちばん手っ取り早い
- Googleビジネスプロフィール: 「テイクアウト可」を設定。地図検索で見つけてもらう
- SNS(Instagram・X): 料理写真を投稿、プロフィールに注文URLを固定
- LINE公式アカウント: 既存客に告知、リピート促進
特にSNSと注文URLの連動は重要です。「美味しそうな写真を見る → そのまま注文できる」導線を作っておくと、認知が売上に直結します。
STEP8: 始めてから改善する
テイクアウトは、始めてからが本番です。
- どのメニューが売れているか、データを見る
- 受取時間の集中具合を確認して、枠を調整する
- お客様の声を聞いて、容器や味付けを改善する
- リピーターにLINEやメールで再来店を促す
最初から完璧を目指す必要はありません。小さく始めて、データを見ながら直していく。これがいちばん確実なやり方です。
まとめ
飲食店がテイクアウトを始める手順を整理すると、
- 営業許可を確認する(店内メニューなら原則追加不要)
- テイクアウト向けにメニューを絞って決める
- 漏れない容器を準備する
- 消費税8%と容器代を踏まえて価格を決める
- 衛生管理・消費期限の体制を作る
- 注文の受け方を決める(早めにネット注文を)
- 集客を準備する(店頭・Google・SNS)
- 始めてからデータを見て改善する
この順番でやれば、大きくつまずくことはありません。
テイクアウトは、初期投資が少なく始められて、うまくいけば売上の第二の柱になります。完璧な準備を待つより、小さく始めて改善していくほうが、結局は早く軌道に乗ります。まずはSTEP1の保健所確認から、動いてみてください。



