ランチ中の電話注文、減らせます|個人飲食店が今日からできる5つの工夫
ピーク中に鳴る電話で手が止まる個人飲食店向けに、電話注文を減らす5つの工夫を紹介。受付時間の決め方、ネット注文への誘導、店頭・SNSでの伝え方、常連への切り替え方まで解説します。

ランチのピークで両手がふさがっているときに限って、電話が鳴る。出れば作業が止まるし、出なければ「注文だったかも」と気になってしまう。少人数で回している個人店なら、きっと覚えのある場面だと思います。
電話で注文をもらえるのはありがたいことです。ただ、人手の少ない店にとっては負担の大きい受け方でもあります。ここで紹介するのは、電話を「なくす」方法ではありません。電話の数を減らし、受ける時間を自分で選べるようにするための5つの工夫です。今日から試せる順に並べました。
電話注文がピーク中の店を苦しめる3つの理由

1. 手が止まり、調理と提供が遅れる
電話を1本受けると、手を拭いてメモを取り、注文を復唱して、合計金額を伝えることになります。仮に1件3分かかるとすると、ピーク中に5件鳴れば約15分(あくまで一例です)。そのあいだ、調理も盛り付けも会計も止まります。
2. 聞き間違い・書き間違いが起きやすい
厨房の音や店内の話し声の中では、「大盛り」「ご飯少なめ」「ネギ抜き」といった細かい指定を聞き漏らしがちです。受取時間の「12時10分」と「12時半」、名前や電話番号の聞き間違いもよくあります。間違えれば作り直しになり、お客様にも嫌な思いをさせてしまう。結局、余計に時間を取られます。
3. 目の前のお客様も、電話のお客様も待たせてしまう
電話に出ているあいだ、レジ前のお客様はただ待つしかありません。かといって店内を優先すれば、電話のお客様を長く保留にすることになります。どちらを選んでも誰かを待たせてしまう。ここが、ピーク中の電話のつらいところです。
まず現状把握:1日何件、どの時間帯に、何の電話が来ているか

対策を考える前に、1〜2週間だけ電話の記録をつけてみてください。レジ横に紙を1枚置いて、正の字で数えるくらいで十分です。
| 記録する項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 時刻 | 11:45 |
| 用件の種類 | 注文 / 営業時間 / 売り切れ確認 / メニュー・価格 / 予約変更 / 営業電話 |
| かかった時間 | ざっくり「1分」「3分」 |
| 電話派の常連か | ○ / × |
続けてみると、注文と問い合わせがどのくらいの割合なのか、どの時間帯に電話が固まっているのかが見えてきます。どの工夫から手をつけるかは、その結果で決めれば大丈夫です。
問い合わせが多いなら、工夫2(先に情報を発信する)から。ピーク中の注文が多いなら、工夫1と工夫3(受付時間の設定と、ネット注文への誘導)が向いています。常連さんからの電話が目立つ店は、工夫4(無理のない切り替え)を先に読んでみてください。
工夫1:電話受付の時間帯を決めてピーク中は出ない運用にする

受付時間の決め方
記録で電話が集中していた時間帯と、店が一番忙しい時間帯を重ねてみます。そのうえで、「電話に出る時間」と「出ない時間」をはっきり分けます。
たとえば、電話注文は10:00〜11:30と13:30以降に受け付け、11:30〜13:30は電話に出ないと決める。ピーク前の受付時間には「お昼の分はこの時間までにご予約を」と案内して、注文を前倒ししてもらいます。
大事なのは、「忙しいときは出ない」で済ませないことです。時間で区切って、それを公表しておく。決まっていればお客様もかけるタイミングを選べますし、スタッフも出るか出ないかで迷わずに済みます。
「出ない時間」はメッセージで案内する
出ない時間にかかってきた電話は、留守番電話のメッセージで案内します。たとえばこんな文面です。
お電話ありがとうございます。○○(店名)です。ただいま11時半から13時半までは、お電話での対応を休止しております。ご注文はSNSのプロフィールにある注文ページから承っております。お急ぎの方はメッセージを残してください。落ち着き次第折り返します。
AIや音声ガイダンスで一次対応してくれる電話の自動応答サービス(例:アイブリー)を使う手もあります。用件の録音や文字起こしができるので、ピークが過ぎてからまとめて確認できます。料金は後の表にまとめました。
折り返しのルールも決めておく
「留守電に残っていたら、ピーク後30分以内に折り返す」。こんなふうに折り返しのタイミングを決めておけば、お客様を放ったままにしてしまう心配が減ります。ピークが落ち着いたら誰が着信履歴を見るのか、担当者も決めておくと安心です。
工夫2:よくある問い合わせ(営業時間・在庫・メニュー)を先に発信して電話自体を減らす

「今日やってますか?」「まだ○○ありますか?」という電話は、答えがどこかに載っていれば、そもそもかかってきません。よくある質問ごとに、先に情報を出しておく場所を決めておきます。
| よくある電話 | 先に発信する場所 | ポイント |
|---|---|---|
| 営業時間・定休日 | Googleの店舗情報、SNSのプロフィール、店頭 | 臨時休業や祝日も早めに更新する |
| 売り切れ・在庫 | Instagramのストーリーズ、X、LINE | 「本日○○完売」を毎日同じ時間帯に投稿する |
| メニュー・価格 | 注文ページ、SNSの固定投稿・ハイライト | 写真つきで価格まで載せる |
| 場所・駐車場 | Googleマップ、SNSの固定投稿 | 近くの目印も添える |
Googleビジネスプロフィールを整える
Google検索やGoogleマップに出てくる店舗情報は、Googleビジネスプロフィール(無料)で管理できます。通常の営業時間とは別にテイクアウトの営業時間を設定でき、祝日や臨時の営業時間変更は特別営業時間として登録できます。営業時間についての電話が多い店なら、まずここが最新になっているかを確かめてみてください。
LINE公式アカウントの自動応答を使う
LINE公式アカウントには、月額0円の「コミュニケーションプラン」があります。公式マニュアルによると、自動の応答メッセージやチャットのやり取りは、配信メッセージの通数にカウントされません。「営業時間」「メニュー」などのキーワードに自動で返信するよう設定しておけば、電話の代わりに問い合わせを受けてくれる窓口になります。
気をつけたいのは、発信先の数です。「最新情報はここを見てください」という場所は、1つに絞っておく。あちこちに出しすぎると更新が追いつかなくなり、かえって確認の電話が増えてしまいます。
工夫3:ネット注文の導線を作り、店頭POP・SNS・ショップカードでURLを伝える
ネット注文にすると何が楽になるか
まず、注文内容が文字で残ります。これだけで、聞き間違いや書き間違いはぐっと起きにくくなります。次に、電話に出られない時間や営業時間外でも注文を受けられること。ランチ前の仕込み中でも、閉店後の片付け中でも、注文は入ってきます。さらに事前決済にしておけば、受け取りのときの会計も短く済みます。
URLは「目に入る場所すべて」に置く
ネット注文は、あることを知ってもらえなければ使われません。注文ページのURLやQRコードは、お客様の目に入る場所に何度でも出しておきます。
- 店頭POP:レジ横、入口、待ち列から見える位置にQRコードを貼る
- SNS:プロフィールのリンク欄に入れ、投稿の最後にも「ご予約はプロフィールのリンクから」と添える
- ショップカード・テイクアウト袋:QRコードつきのカードやシールを同封する
- 留守電メッセージ・LINEの自動応答:工夫1と2で作った案内にもURLを添える
POPの文言は、店側の事情より、お客様にとってのメリットで書くのがコツです。
待たずに受け取れます。前日・当日朝のご予約はこちらから(QRコード)
道具の早見表
| サービス | 主な役割 | 料金の目安 |
|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィール | 営業時間・店舗情報の発信 | 無料 |
| LINE公式アカウント | 自動応答・お知らせ配信 | コミュニケーションプランは月額0円 (ほかに有料プランあり) |
| アイブリー | 電話の自動応答・録音・文字起こし | フリープランは月30着電まで0円。スターターは月払い¥3,980〜 (税抜、電話番号の維持費・利用料は別途) |
| OutFood | テイクアウトの予約注文受付・事前決済 | Freeプランは月20件まで無料、Standardプランは月額¥1,900〜 |
※料金は記事執筆時点 (2026年11月) のものです。最新情報は各公式サイトをご確認ください。
テイクアウトの予約受付そのものを仕組み化したい場合は、OutFood を使うと無料で始められます。アカウントはメールアドレスとパスワードだけで作成でき、クレジットカードの登録は要りません。店舗ごとに発行される注文ページのURLをSNSやLINEでシェアすれば、お客様が受取日時を選んで注文し、事前に決済まで済ませてくれます。
ただし、月の注文数がFreeプランの20件を大きく超えるなら、有料プランの検討が必要です。また、スマホを使わないお客様が中心のお店では、ネット注文だけで電話が大きく減るとは限りません。そういうお店は、工夫4・5と組み合わせてみてください。
工夫4:常連や電話派のお客様を無理なく切り替える声かけと例外ルール
声かけは「お客様のメリット」で伝える
長年電話で注文してくれている常連さんに、いきなり「ネットでお願いします」とは言いにくいものです。切り替えをお願いするときは、店の都合ではなく、お客様にとって便利になる点を伝えると受け入れてもらいやすくなります。
たとえば「次回からこちらでも注文できます。待たずにお渡しできますよ」とか、「お昼どきは電話がつながりにくいので、こちらなら確実です」といった一言。受け取りのタイミングで、QRコードつきのカードを直接手渡すのもいいでしょう。
一度に全員を切り替えようとしなくて大丈夫です。受け取りのたびに一言ずつ伝えるくらいが、ちょうどいいペースです。
例外ルールを先に決めておく
全員がネット注文に移れるわけではありません。「この場合は電話でOK」を先に決めておけば、スタッフも迷わずに済みます。
たとえば、スマホを使わない常連さんには「ピーク前の時間なら、いつでもお電話ください」と受付時間を伝えておく。大口注文や法人の注文は内容の相談が必要なので、電話受付を続ける。前日までの予約なら、ピーク中でなければ電話でも受ける。こうした線引きを、あらかじめ店の中で共有しておきます。
段階的に切り替える
1か月目は、店頭・SNS・声かけでネット注文があることを知らせる期間です。2か月目から、ピーク中は留守電での案内に切り替えます。3か月目以降は電話の記録を見直して、受付時間を調整していきます。
工夫5:電話をゼロにしない方がいいケースと、残す電話の受け方
電話を残した方がいいケース
電話は「なくすもの」というより、「必要な用件のために空けておく窓口」と考えてみてください。次のような用件は、電話で話したほうが早くて確実です。
- アレルギーや原材料の確認:細かい確認が必要になりやすいので、会話で丁寧に対応したい
- 大口注文・オードブルなどの相談:数量や予算、受取方法の相談が必要になる
- 当日のトラブル:「受け取りが遅れる」「急ぎで取り消したい」といった連絡
- スマホを使わないお客様が多い地域:電話が主な連絡手段になっている
なお、アレルギー表示や食品の取り扱いのルールについては、ここでは一般論にとどめています。詳しくは管轄の保健所など専門家に確認してください。
残す電話は「型」で受ける
電話を受けるときは、毎回同じ順番で聞くようにすると、短く、正確に受けられます。受付メモを印刷して、レジ横に置いておくと便利です。
| 聞く順番 | 内容 |
|---|---|
| 1 | お名前 |
| 2 | 電話番号 |
| 3 | 受取日時 |
| 4 | 商品と数量 |
| 5 | 指定(大盛り・抜きなど) |
| 6 | 合計金額を伝える |
そして最後に、必ず全体を復唱すること。これがミスを防ぐ一番の方法です。電話で受けた注文も、ネット注文と同じ場所(ノートや管理画面など)にまとめて書いておけば、作り忘れや二重管理を防げます。
まとめ
ピーク中の電話は、受け方の仕組みを少し変えるだけで減らせます。
出発点は、1〜2週間の電話の記録です。時刻と用件を書き出してみれば、何から手をつけるべきかが見えてきます。
そのうえで、電話の受付時間を決めて公表し、ピーク中は留守電や自動応答で案内する(工夫1)。営業時間や売り切れ、メニューは、Googleの店舗情報やSNS、LINEで先に知らせておく(工夫2)。ネット注文の入口を用意して、店頭POPやSNS、ショップカードでURLを繰り返し伝える(工夫3)。常連さんには「お客様のメリット」で声をかけ、電話で受ける例外も決めておく(工夫4)。そして、アレルギー確認や大口注文のための電話は残し、決まった型で短く正確に受ける(工夫5)。
全部を一度に変える必要はありません。まずは今日、レジ横に紙を1枚置いて電話の記録を始めてみてください。一番多い用件から手を打つのが近道です。電話に振り回される時間が減れば、そのぶん料理と目の前のお客様に向き合えるようになります。



