テイクアウトの容器代、価格に乗せるべきか?原価計算と決め方
テイクアウトの容器代は商品価格に含めるか別料金にするか。容器込みの原価率の計算方法、値付けの考え方、お客様への伝え方まで、個人飲食店が利益を残すための実務をわかりやすく解説します。

「テイクアウトを始めたのに、思ったほどお金が残らない」「容器の仕入れ値は上がったのに、売値はそのまま」。閉店後にレジを締めながら、そんなモヤモヤを感じているオーナーさんは多いはずです。
店内なら要らなかった容器やフタ、割り箸、袋。テイクアウトには、こうした費用がついて回ります。1個あたりは数十円でも、毎日積み重なれば利益は少しずつ削られていきます。
ここでは、容器代を含めた原価の出し方から、値段への乗せ方、店内価格との差のつけ方、お客様への伝え方までを順番に整理していきます。消費税の扱いも、2027年4月に予定されている税率引き下げを含めて確認しておきます。
テイクアウトの容器代はどれくらい利益を圧迫しているのか
店内で出すお皿は、洗えばまた使えます。テイクアウトの容器はそうはいきません。一度渡したらそれきりの消耗品なので、売れた数だけ費用が出ていきます。食材と同じく「売るたびにかかる原価」として数えておくべきものです。
「1個数十円」が月単位で効いてくる
仮の数字で計算してみます。
お弁当1食に使う容器・フタ・割り箸・シールなどが、合わせて約56円。1日20食を営業日30日で売ると月600食です。容器まわりだけで、56円 × 600食 = 月33,600円になります。
食材原価だけを見て値段を決めていると、この月3万円あまりがまるごと計算から抜け落ちます。「売れているのに手元にお金が残らない」と感じるとき、原因がここにあることは少なくありません。
見落としやすい「容器以外」の資材
容器本体のほかにも、1食を渡すまでに意外と多くのものを使っています。
- フタ、仕切り、タレやソース用のカップ
- 割り箸、スプーン、フォーク、おしぼり、紙ナプキン
- 商品ラベル、封をするシール、輪ゴム
- 保冷剤、ケーキ箱の中敷き、ろうそく
- 無料で渡している袋
1つずつは小さな金額でも、足していくと容器本体と同じくらいになることがあります。仕込みが一段落したときにでも、1食分を袋に詰めるまでの流れを思い出してみてください。使っているものを紙に書き出すと、思った以上に多いはずです。
容器・カトラリー・袋まで含めた「テイクアウト原価」の計算方法
ステップ1:資材の「1個あたり単価」を出す
容器はケースや束でまとめ買いすることが多いので、まず1個あたりの金額に直します。
1個あたり単価 = (仕入れ価格 + 送料) ÷ 入数
50枚入り1,500円の容器なら、1個30円。送料がかかるなら、それも入数で割って足しておきます。試作や破損でダメになる分もあるので、数%ほど上乗せしておくと実際の数字に近づきます。
ステップ2:商品ごとに「テイクアウト原価」を合計する
テイクアウト原価 = 食材原価 + 容器・フタ + カトラリー類 + ラベル・シール + (無料なら) 袋
使う資材はメニューによって違います。一度メニューごとの一覧表にしておけば、仕入れ値が変わったときも直すのが楽です。
ステップ3:容器込みの原価率を計算する
容器込み原価率 = テイクアウト原価 ÷ 税抜の販売価格
割るのは、税込ではなく税抜の価格です。消費税はお店の売上ではなく、お客様から預かっているお金。税込の価格で割ると、原価率が実際より低く見えてしまいます。
計算例 (数字はすべて仮のものです)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 販売価格 (テイクアウト税込) | 800円 |
| 税抜価格 (800円 ÷ 1.08) | 約741円 |
| 食材原価 | 240円 |
| 容器・フタ | 45円 |
| 割り箸・おしぼり | 8円 |
| ラベル・シール | 3円 |
| テイクアウト原価合計 | 296円 |
食材だけで計算すると、240 ÷ 741 ≒ 約32%。容器まで入れると、296 ÷ 741 ≒ 約40%。
「3割ちょっと」のつもりでいたのに、容器を含めると約8ポイントも上がっています。
目標の原価率から値段を逆算する
反対に、目指す原価率から必要な価格を出すこともできます。
必要な税抜価格 = テイクアウト原価 ÷ 目標原価率
上の例で容器込みの原価率を35%に抑えたいなら、296 ÷ 0.35 ≒ 846円 (税抜)。税込にすると約914円です。実際には切りのいい900円にしたり、容器を見直して原価を下げたりして調整することになるでしょう。目標の原価率は業態やお店の方針で変わります。この35%は、あくまで計算の一例と考えてください。
容器代を商品価格に含める方式と別料金にする方式のメリット・デメリット
容器代の回収のしかたは、大きく分けて2通りあります。
| 商品価格に含める方式 | 別料金にする方式 | |
|---|---|---|
| 表示例 | 唐揚げ弁当 900円 | 唐揚げ弁当 860円+容器代40円 |
| お客様のわかりやすさ | ◎ 払う金額がひと目でわかる | △ 合計額を計算する必要がある |
| 原価の見える化 | △ 容器分が見えにくい | ◎ 容器代を回収していることが明確 |
| 容器の値上がりへの対応 | 商品価格ごと見直す | 容器代だけ変えればよい |
| レジ・注文受付の手間 | 少ない | 容器代を加算する手間が増える |
| 消費税の扱い | 比較的シンプル | 注意が必要 (後述) |
個人店には「価格に含める方式」が基本的に向いている
お客様にとって一番安心なのは、表示された金額でそのまま買えることです。会計のときに「容器代が別にかかります」と言われると、払う額は同じでも、なんとなく損をした気分になるもの。メニュー数が少なく、容器も共通化しやすい個人店なら、価格に含めてしまうのがシンプルです。
別料金が向いているケース
それでも、別料金のほうが納得してもらいやすい場面はあります。
たとえば、店内とテイクアウトで同じ料理を出していて、差額の理由をはっきりさせたいとき。容器の種類が多く、どれを選ぶかでコストが大きく変わるとき。贈答用の箱やラッピングのように、希望する人だけが使う資材があるとき。こうした場合は、容器代を分けて示したほうが話が早いこともあります。
別料金にする場合は消費税の扱いに注意
国税庁の軽減税率Q&Aでは、食品の販売に付いてくる通常必要な容器や包装は、容器も含めて軽減税率の対象になると説明されています。ただし、贈答用の包装などのように、包装材料に別途値段を決めている場合は「飲食料品の譲渡」に当たらない、ともされています。
つまり、容器代や袋代を別料金にすると、その部分には標準税率 (10%) がかかる可能性があるわけです。レジの設定や価格表示にも関わってくるので、別料金にする前に税理士や税務署に確かめておいてください。
袋は「持ち手付きのプラスチック袋」なら有料が原則
2020年7月から、小売業の事業者には、持ち手のついたプラスチック製買物袋の有料化が義務付けられています。紙袋や布の袋、持ち手のない袋は対象外。厚さや素材の条件を満たす一部の袋も除外されます。自分の店の袋が当てはまるか迷ったら、経済産業省などの案内で確認できます。
スプーンやフォークなどの使い捨てプラスチック製品については、プラスチック資源循環促進法で使用量を減らす取り組みが求められています。環境省の案内でも、スプーンやフォークを有償で提供することが取り組み例に挙がっています。有料にまではしなくても、カトラリーを希望制にするだけで資材費は浮きます。
店内価格とテイクアウト価格を変えてもいいのか?消費税8%との関係も整理
価格の決め方はお店の自由
まず前提として、店内とテイクアウトをそれぞれいくらにするかは、お店が自由に決めてかまいません。消費者庁などが示した価格表示の考え方でも、価格設定は事業者に任されていると明記されています。
いまは、テイクアウトの飲食料品に軽減税率8%、店内飲食に標準税率10%がかかっています。よく見かける値付けは、次の3パターンです。
| パターン | 税抜 (本体) 価格 | 税込価格の例 |
|---|---|---|
| ① 本体価格を同じにする | 店内もテイクアウトも1,000円 | 店内1,100円 / テイクアウト1,080円 |
| ② 税込価格を同じにする | テイクアウトの本体価格を少し高くする | どちらも1,100円 |
| ③ テイクアウトの本体価格に容器代を上乗せ | テイクアウトを1,040円にするなど | 店内1,100円 / テイクアウト約1,123円 |
②のように税込価格をそろえる方法は、国税庁の資料でも価格表示の一例として紹介されています。③のようにテイクアウトの本体価格を上げる例も同じ資料に載っています。容器代の分だけテイクアウトを高くすること自体は、問題ありません。
価格は「税込の総額」で表示する
2021年4月から、消費者向けの価格表示では税込の総額表示が義務になりました。
店内とテイクアウトで税込価格が違うなら、両方の税込価格を並べて書くのがひとつのやり方です。どちらか一方の税込価格だけを表示して、「店内飲食の場合は価格が異なります」といった掲示を店内に出しておく方法もあります。
2027年4月からテイクアウトの税率が1%になる予定
もうひとつ頭に入れておきたいのが、飲食料品の消費税率の引き下げです。政府は2026年9月に大綱を閣議決定し、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、軽減税率8%の対象となる飲食料品を1%に引き下げる方針を示しました。関連法案は10月に国会へ提出されていますが、この記事の執筆時点 (2026年10月) では、まだ成立していません。
予定どおり実施されれば、10%のままの店内飲食とテイクアウトとの税率差は一気に広がります。本体価格1,000円なら、店内1,100円、テイクアウト1,010円。差は90円です。
本体価格を店内と同じにしている店では、テイクアウトの税込価格がそのまま下がります。税込価格をそろえている店は、テイクアウトの本体価格を改めて設計し直すかどうか、考える必要が出てくるでしょう。予約販売で引き下げの前後をまたぐ注文については、税率の経過措置が予定されています。
表示の切り替えにも特例が予定されていて、国税庁が特設サイトで情報を出しています。レジや表示をいつ、どう切り替えるかは、国税庁の最新情報を見ながら、税理士にも相談して決めてください。
業態別に見る容器代の乗せ方:弁当・ケーキ・パン・キッチンカー
弁当・惣菜
販売価格のうち、容器が占める割合が大きくなりやすい業態です。基本は価格に含める方式で、メニューごとに容器込みの原価率を出しておくと安心できます。
汁物やソースの別添えカップのように、メニューによって追加でかかる資材も忘れずに入れておきます。容器のサイズをそろえれば仕入れがまとまり、単価も下げやすくなります。
ケーキ・洋菓子
箱、保冷剤、中敷き、ろうそく。注文1回ごとにかかる資材が多いのが特徴です。ケーキ1個単位ではなく「箱1つあたり」で資材費を出し、何個入りかで割ると、実態に近い数字になります。
ホールケーキなら、箱やろうそくなど標準で付けるものは価格に含めておくのがシンプルです。贈答用の化粧箱やリボンは、希望する方だけのオプションにしておけば不公平感が出ません。この場合の税率の扱いは、先ほど触れたとおり確認が必要です。
パン
1個の単価が低いぶん、個包装の袋やシールが占める比率が意外と高くなります。個包装する商品としない商品を分けて、包装するほうの価格に資材費を反映させておくといいでしょう。
持ち手付きのプラスチック袋を渡すなら、有料化のルールに沿った対応が必要です。紙袋やエコバッグの利用を声かけすれば、袋代の節約にもなります。
キッチンカー
ほぼすべての商品がテイクアウトなので、最初から容器込みで価格を組み立てます。比べる店内価格がないぶん、値付けは素直に考えられます。
会計の速さがものをいう業態なので、お釣りの少ないキリのいい価格にまとめると回転がよくなります。出店場所によってはゴミの持ち帰りが前提になることもあります。資材を減らす工夫そのものが、お客様にとっての価値になるわけです。
容器代込みの値上げをお客様に納得してもらう伝え方
理由は短く、具体的に
値上げのお知らせは、長い言い訳よりも短く正直な説明のほうが届きます。
書くことは、何が上がったのか (容器・包装資材など)、いつからいくらになるのか、そしてこれからも続けること (味・量・品質など)。これだけで十分です。
お知らせ文の一例
いつもご利用いただきありがとうございます。容器・包装資材の価格が上がっているため、11月◯日よりテイクアウト商品の価格を改定いたします。料理の量や品質はこれまでどおり守ってまいります。今後ともよろしくお願いいたします。
店頭とSNSで、改定の1〜2週間前から告知しておけば、お客様も心づもりができます。
「選べる」ことで不満を和らげる
値上げと同じタイミングで、お客様が選べる余地をつくっておくのも手です。
割り箸やスプーンは「必要な方のみ」にする。袋がいるかどうかは、声をかけて確認する。容器を持参できる商品があれば案内する (衛生面の扱いは、事前に保健所へ確認しておいてください)。
「容器が高くなったから値上げします」で終わらせず、「資材を減らす工夫もしています」と添える。それだけで、お店の姿勢はぐっと伝わりやすくなります。
値上げと一緒に価値も見直す
値段を上げるときは、商品そのものを見直すいい機会でもあります。汁漏れしにくい容器に替える、温め直しやすい容器にする。お客様にとってメリットのある変更なら、値上げも受け入れてもらいやすくなります。
価格を見直したら注文サイトやメニュー表示も揃えて更新する
価格を変えたのに、店頭と注文サイトで金額が違っていたらどうでしょう。お客様は不信感を持ちますし、トラブルのもとにもなります。改定日には、次の場所をまとめて更新しておきたいところです。
更新チェックリスト
- 店頭のメニュー表・POP・黒板
- レジ (POSレジ) の商品マスタ・税率設定
- テイクアウト・予約用の注文サイト
- チラシ・ショップカード
- SNSのプロフィールや固定投稿のメニュー画像
- 地図アプリなどに載せている店舗情報
- 電話注文を受けるときのメモ・価格表
改定日をまたぐ予約に注意
予約注文を受けているなら、改定日より前に受けた予約をどちらの価格で扱うか、先に決めておきます。「ご注文時の価格で承ります」のようにルールを決めてスタッフ全員で共有しておけば、受け渡しの場で迷わずに済みます。2027年4月の税率引き下げが予定どおり実施される場合も、切り替え前後の予約の扱いは同じように確認が必要です。
価格の情報は1か所で管理するとラク
メニューの価格が紙、SNS、注文サイトとバラバラにあると、どこかで更新漏れが起きがちです。テイクアウトの予約受付を仕組み化したい場合は、OutFood のような予約注文受付システムを使うのも一つの方法です。商品ごとに価格・写真・説明を登録でき、発行された注文サイトのURLをSNSやLINEでシェアすれば、お客様はいつでも最新の価格を確認して注文・事前決済できます。Freeプランは月20件まで無料で、メールアドレスとパスワードだけで始められます。
まとめ
- テイクアウトの容器・カトラリー・袋は、売るたびにかかる原価です。食材原価だけで値段を決めると、利益は想定より少なくなります
- テイクアウト原価 = 食材 + 容器 + 付属品。これを税抜価格で割れば、容器込みの原価率が出ます
- 個人店なら、容器代は価格に含める方式がシンプル。別料金にすると消費税の税率の扱いが変わる可能性があるので、税理士に確認を
- 店内とテイクアウトの価格差はお店が自由に決めてよく、表示は税込の総額が基本です
- 2027年4月からテイクアウトなどの飲食料品は税率1%になる予定 (2026年10月時点で法案は審議中) です。国税庁の最新情報は、折に触れて見ておくと安心です
- 値上げのときは理由を短く伝えて早めに告知し、カトラリーの希望制など選べる工夫を組み合わせると、納得してもらいやすくなります
- 価格を変えたら、店頭・レジ・注文サイト・SNSをまとめて更新して、表示のズレをなくしておきます
※本記事の税制・法令に関する内容は、記事執筆時点 (2026年10月) の一般的な情報です。自店のケースでの扱いは、税理士・税務署・保健所などの専門家や窓口にご確認ください。



