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生菓子だけでは頭打ち?ケーキ屋の焼き菓子ギフト詰め合わせの始め方

生ケーキだけでは売上が天候や曜日に左右されがちです。ケーキ屋が焼き菓子の詰め合わせギフトを始める手順を、品揃え、日持ちと表示、価格の決め方、予約受付まで実務目線でまとめました。

生菓子だけでは頭打ち?ケーキ屋の焼き菓子ギフト詰め合わせの始め方

ケーキ屋の売上は、天気と曜日に大きく左右されます。雨の週末にショーケースの前でお客様を待つ時間は、長く感じるものです。閉店後、残った生ケーキを片付けながら胸が痛んだことのあるオーナーも多いはずです。

生ケーキはお店の顔です。けれど日持ちしないので、「売れる日に売り切る」以外に手がありません。そこで多くの洋菓子店が力を入れているのが、焼き菓子の詰め合わせギフトです。ここでは品揃え、日持ちと表示、価格の決め方、予約の受け方まで、始めるときに押さえておきたい実務を順に見ていきます。

ケーキ屋が焼き菓子ギフトを持つべき理由:生菓子の売上の波を埋める

焼き菓子が並ぶ店内の風景

焼き菓子ギフトのいちばんの役割は、売上の波をならすことです。生ケーキは当日か翌日には売り切らなければなりません。焼き菓子は数日から数週間もつものが多く、作り置きがききます。

生菓子だけの経営で起こりやすいこと

雨の日や連休明けは来店が減り、そのぶん廃棄が増えます。逆に誕生日やクリスマスのような「ケーキが必要な日」には、注文が一気に集中します。仕込み量の読みが外れれば、売り切れか廃棄のどちらかになってしまう。生菓子だけで回していると、この振れ幅からなかなか抜け出せません。

焼き菓子ギフトが補ってくれること

まず、作業をならせます。暇な日に焼いて包装まで済ませておけば、忙しい日への備えになります。

次に、ケーキ以外の用事で来てもらえるようになります。手土産、お礼、内祝い。誕生日でなくても、お店に足を運ぶ理由ができるわけです。

客単価も上がります。詰め合わせは1箱で数千円になることもありますし、生ケーキのついでに手に取ってもらえることもあります。

もうひとつ見逃せないのが、配る人がお客様を連れてきてくれる点です。もらった人が「このお店どこ?」と興味を持てば、それが次の来店のきっかけになります。

生ケーキは「その日のごちそう」、焼き菓子は「人に渡すもの」。役割が違うので、片方が売上を食い合う心配はあまりありません。

詰め合わせに向く焼き菓子と、最初に揃える品数の目安

焼き菓子の詰め合わせ

詰め合わせに向く焼き菓子の条件

ギフトに入れるなら、おいしさのほかにも確かめておきたい点があります。

  • 水分が少なく、日持ちしやすい (クッキー、サブレ、フロランタンなど)
  • 個包装しても形が崩れにくい (フィナンシェ、マドレーヌ、パウンドケーキのカットなど)
  • 常温で保存できる (生クリームや生のフルーツを使ったものは避ける)
  • 見た目で違いがわかる (色や形が違うと、箱を開けたときに華やかに見える)

タイプ別に分けると、次のように整理できます。

タイプ例特徴
半生系フィナンシェ、マドレーヌ、ガトーショコラしっとりしていて満足感がある。日持ちは乾き系より短めになりやすい
乾き系サブレ、クッキー、メレンゲ日持ちしやすく軽い。数を入れて「量」を見せやすい
存在感系パウンドケーキ、フロランタン箱の主役になる。カットの大きさで価格を調整しやすい

最初は「5〜6種類」程度から

いきなり10種類以上を揃えると、仕込みも在庫管理も一気に大変になります。始めのうちは半生系2〜3種と乾き系2〜3種、合わせて5〜6種類くらいが目安です (あくまで一例です)。

軸にするのは、今ある焼き菓子のうち単品でよく売れているもの。そこにプレーン、チョコ、ナッツ、柑橘といった具合に味の方向を散らして、かぶらないように組みます。季節限定を1種類だけ入れ替え枠にしておけば、リピーターにも飽きられにくくなります。

ただし、ナッツ類を使う商品はアレルギー表示に特に注意が必要です。詳しくは次の章で触れます。

日持ちの考え方と、個包装・脱酸素剤・表示ラベルの基本

個包装された焼き菓子の画像

ギフトは、買った人ではなく、もらった人が食べるもの。渡すまでに数日空くこともあります。日持ちと表示は、生ケーキ以上に丁寧に準備しておきたいところです。

賞味期限は「勘」ではなく根拠をもって決める

賞味期限は、お店が責任を持って決めるものです。国のガイドラインでも、食品の特性や包装の形、保存方法などをふまえて、科学的・合理的に決めることが求められています。

期限を決めるときの「安全係数」の考え方は、最近見直されました。期限表示の指針の改正案では、食品ロス削減の観点から、期限の根拠となる安全係数の目安である「0.8」を削除し「1に近づけること、また差し引く時間や日数は0に近づけることが望ましい」と明記されています。ガイドラインは令和7年(2025年)3月28日に改正され、食品表示基準Q&A内に別添として組み込まれています。

実際の手順は、次の流れが一般的です。

  1. 個包装した状態で保管し、日ごとに味・香り・食感の変化を確かめる
  2. 必要に応じて検査機関に保存試験を依頼する
  3. 結果をもとに期限を決め、記録を残しておく

個包装と脱酸素剤

個包装にすると湿気と乾燥を防げますし、配りやすくもなります。フィルムはガスを通しにくいものを選ぶと、品質を保ちやすくなります。

脱酸素剤は、袋の中の酸素を吸って油脂の酸化やカビを防いでくれます。注意したいのは、袋を開けた瞬間から酸素を吸い始めること。箱詰めの作業中も、使う分だけ取り出して残りはすぐ密閉する。これが基本です。

包装資材や鮮度保持剤が変われば、日持ちも変わります。資材を切り替えたときは、日持ちを確かめ直してください。

表示ラベルの基本

どんな表示が必要かは、「どう包装して、どこで売るか」で変わります。食品表示のルールは原則として容器包装された食品に適用されるため、ショーケースからのバラ売りでは表示が要らない場合もあります。

製造小売のお店には特例もあります。「食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合」とは、製造者と販売者が同一で、同一の施設内、敷地内で製造販売することをいい、洋菓子店、和菓子店等の「菓子小売業(製造小売)」などが当てはまります。この場合、一部の表示項目は省略できます。

ただ、通販で送る場合や別の場所で売る場合は、扱いが変わることがあります。そもそもギフトは贈り先で食べられるものです。名称・原材料・アレルゲン・期限・保存方法・製造者などをきちんと書いたラベルを貼っておくと安心です。

特にアレルギー表示は、最近ルールが変わりました。

  • 令和8年4月1日、食品表示基準が改正され、食物アレルギーの義務表示対象品目(特定原材料)に「カシューナッツ」が追加されました
  • 表示が義務になっている品目は、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)の9品目です
  • カシューナッツの表示については、令和10年3月31日までは表示切替えの期間とされています
  • ピスタチオは新たに特定原材料に準ずるものに追加されました(こちらは表示が「推奨」される品目です)

焼き菓子はナッツや小麦、卵、乳をよく使います。仕入れ先の原材料規格書も含めて、一度確認し直しておくのがおすすめです。表示や期限の決め方はお店の状況によって変わるので、詳しくは管轄の保健所に確認してください。

箱代・人件費まで含めた詰め合わせの価格の決め方

焼き菓子の価格計算風景

詰め合わせでありがちな失敗が、焼き菓子の単価を足しただけで値段を決めてしまうことです。箱やリボン、詰める手間を入れ忘れると、売れば売るほど利益が減っていきます。

原価に入れるもの

中身の焼き菓子それぞれの材料費はもちろん、個包装の袋、脱酸素剤、シーラーの消耗品といった包装資材も原価に入ります。箱まわりでは、箱、仕切り、緩衝材、シール、リボン、表示ラベル。

見落としやすいのが人件費です。個包装、箱詰め、ラッピングにかかる時間に時給をかけて計上します。手提げ袋やのし紙などの付属品も忘れずに。袋を別料金にするかどうかも、このとき一緒に決めておくと後で迷いません。

計算の一例(8個入りの場合)

以下は考え方を示すための一例です。実際の金額は、お店ごとに計算してください。

項目金額の一例
焼き菓子の材料費(平均40円 × 8個)320円
個包装袋+脱酸素剤(15円 × 8個)120円
箱・仕切り150円
シール・リボン・ラベル30円
箱詰めの人件費(5分、時給1,200円の場合)100円
合計原価720円

この原価を、狙う原価率 (例:35%) で割ります。720円 ÷ 0.35 ≒ 約2,060円。ここから2,000円台前半あたりを候補にして、近所の相場やお店の立ち位置を見ながら決めていく流れです。

値付けのコツ

目指したいのは「単品で買うより少しお得」な価格ではありません。「箱代込みで納得できる」価格です。

金額は1,000円、2,000円、3,000円のように、きりのいい数字にそろえておくと、贈る人が予算を決めやすくなります。資材は値上がりすることもあるので、年に1回は原価を見直したいところ。消費税の扱い (箱やのしを含めたときの税率など) で迷ったら、税理士に確認するのが確実です。

手土産・内祝い・法人需要に合わせたサイズと価格帯の組み方

ギフトは「誰に、何のために贈るか」で、求められる価格が変わります。用途ごとにサイズを決めておけば、お客様も選びやすくなります。

用途価格帯の目安中身の考え方
プチギフト・配り菓子数百円程度2〜3個入りの小袋。結婚式やイベントでまとめて注文されやすい
手土産1,000〜2,000円程度6〜10個入り。家族で分けやすい種類と数にする
内祝い・お礼3,000〜5,000円程度15個以上や、パウンドケーキ入りの大箱。のし対応が必須
法人・大人数向け数量に応じて個包装をたくさん詰めた箱。職場で配りやすいことを重視する

※価格帯は一般的な目安で、地域やお店によって変わります。

最初は3サイズで十分

最初から全部を揃える必要はありません。小 (手土産)・中 (お礼)・大 (内祝い・法人) の3サイズから始めれば、箱の在庫も管理しやすくなります。

中身はサイズ間で共通にしておくと、仕込みが楽です。たとえば小は5種、大は同じ5種を多めに、といった組み方です。

法人向けで特に気をつけたいのは、個包装・常温・日持ちの3点。職場ですぐに全部食べるとは限らないからです。

内祝いは「いただいたお祝いの半額〜3分の1くらい」でお返しを選ぶ方が多いといわれます。3,000円と5,000円の箱があると、選ばれやすくなります。

まとめ注文は予約で受ける:受取日・のし・数量の聞き方

数十箱単位の注文やのし付きの注文を、当日の来店で受けるとどうなるか。朝の仕込みの最中に大口の相談が入れば、ほかの作業はすべて止まってしまいます。まとめ注文は予約で受ける、と最初に決めておくのが得策です。

予約で聞いておくべき項目

  • 受取日時 (大口は「受取日の○日前までに予約」と締め切りを決める)
  • 商品と数量 (サイズごとの箱数)
  • のしの有無と種類 (表書き:御礼・内祝・御祝など/名入れの名前/外のし・内のし)
  • 手提げ袋の枚数 (配る数に合わせるかどうか)
  • アレルギーなどの確認事項 (詰め合わせの中身を変えられるかは事前に決めておく)
  • 領収書の宛名 (法人注文では特に多い)
  • 連絡先 (電話番号・メールアドレス)

トラブルを防ぐルールづくり

締め切りと変更期限は先に決めておき、予約を受けるときに伝えます。前払い (事前決済) にしておけば、当日のキャンセルや、受け取りに来ないリスクも減らせます。

予約の管理は1か所にまとめてください。電話で受けた分、DMで受けた分、店頭で受けた分が別々のメモに散らばっていると、閉店後に照らし合わせるだけでひと苦労です。

実際、電話やSNSのDMで予約を受けていると、聞き漏れや二重予約が起こりやすくなります。予約受付を仕組み化したいなら、OutFood(アウトフード)のようなテイクアウト予約システムを使う方法もあります。お店専用の注文ページが発行され、お客様は受取日時を選んで注文・事前決済できます。管理画面では注文の進み具合を「受付中 → 調理中 → 受取可能 → 完了」と切り替えて管理できます。メールアドレスとパスワードだけで登録でき(クレジットカード登録は不要)、月20件まではFreeプランで無料なので、まず定番の詰め合わせだけ載せて試すこともできます。詳しくはOutFood公式サイトをご覧ください。

一方で、のしの細かい指定や中身の組み替えなど、個別の相談が多い法人注文は、電話やメールで直接やりとりしたほうが早いこともあります。「定番セットはオンライン予約、特別な注文は相談で受ける」という使い分けも一つの手です。

店頭とSNSでギフトを知ってもらう見せ方

せっかくギフトを用意しても、お客様が知らなければ選ばれません。「ここで焼き菓子ギフトが買える」と気づいてもらう工夫が要ります。

店頭での見せ方

まずは見本の箱を、ふたを開けた状態で飾ってみてください。中身がわかると、お客様は安心して買えます。

POPには価格・個数・日持ち・用途を書いておきます。「8個入り 手土産に/日持ち○日」くらいの簡単なもので十分です。

レジ横には小さいサイズを置きます。生ケーキを買ったついでに選ばれやすい場所です。

のし対応ができることも、書いておかないと案外気づかれません。知られないまま、ほかのお店で買われてしまうのはもったいない話です。

SNSでの見せ方

投稿は、箱を開けた写真と中身の一覧をセットにするとわかりやすくなります。投稿文には価格・サイズ・予約の締め切りをはっきり書いておくこと。プロフィールやLINEに予約ページのURLを載せておけば、見た人がその場で注文できます。

告知のタイミングは、季節の行事に合わせるのが基本です。年末年始の手土産、バレンタイン、母の日、お中元、敬老の日。贈り物の機会は一年を通してあります。

11月は、年末のご挨拶や帰省の手土産、年明けの挨拶回りなど、ギフト需要が増える時期の入り口です。「年末年始の手土産、予約受付中」と早めに告知しておけば、まとめ注文を前もって集めやすくなります。

まとめ

焼き菓子の詰め合わせギフトは、天気や曜日で揺れやすいケーキ屋の売上を支える、心強い2本目の柱になります。最後に要点を振り返っておきます。

  • 役割:作り置きできる焼き菓子で売上と作業の波をならし、「ケーキ以外の用事」での来店を増やす
  • 品揃え:半生系と乾き系を組み合わせて5〜6種類程度から始め、味がかぶらないようにする
  • 日持ちと表示:賞味期限は根拠をもって決め、記録を残す。カシューナッツが加わって9品目になったアレルギー表示も確認し直す。詳しくは保健所に相談する
  • 価格:箱・資材・詰め作業の人件費まで原価に入れ、贈る人が選びやすいきりのいい価格にする
  • サイズ:手土産・お礼・内祝い/法人の3サイズから始める
  • 予約:受取日・数量・のし・袋・領収書を漏れなく聞き、締め切りと事前決済でトラブルを防ぐ
  • 見せ方:店頭は中身と日持ちが見えるように、SNSは価格と予約方法をはっきり書く

まずは今いちばん売れている焼き菓子を2〜3種類組み合わせて、小さな箱を1つ作るところから始めてみてください。テイクアウト Journal では、これからも小さなお店の売上づくりに役立つ情報をお届けします。

#ケーキ屋#焼き菓子#ギフト#詰め合わせ#客単価

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